この章では、NFS (Network File System) の基本的な概念、NFSがどのような問題を解決するために使われるのか、そしてNFSの主要なバージョンであるバージョン3 (v3) とバージョン4 (v4) の根本的な違いについて学びます。この違いを理解することが、昨日のような設定の混乱を解消する最初の鍵となります。
NFSは「Network File System」の略です。その名の通り、ネットワーク越しにファイルシステムを利用するための仕組み(プロトコル)です。
例えるなら:
NFSは「ネットワーク上の外付けハードディスク」のようなものです。
通常、外付けハードディスクはUSBケーブルで自分のPCに接続します。接続すると、PC上に新しいドライブ(DドライブやEドライブなど)として表示され、自分のPC内にあるフォルダと同じようにファイルを保存したり開いたりできます。
NFSは、この「USBケーブル」の代わりに「LANケーブル(ネットワーク)」を使い、遠くにある「NFSサーバー」という専門のコンピュータのハードディスクを、自分のPC(NFSクライアント)に接続します。
接続が完了すると、クライアントPCの特定のフォルダ(例: /mnt/data)が、実はサーバーのフォルダ(例: /srv/nfs/data)への「窓口」になります。クライアントが /mnt/data にファイルを書き込むと、そのデータはネットワークを通ってサーバーの /srv/nfs/data に実際に保存されます。
もしNFSがなかったら、複数のコンピュータで同じファイルを使うのは非常に面倒です。
課題: 営業部のメンバー5人が、最新の「顧客リスト.xlsx」を共有したい場合。
NFSによる解決:
NFSサーバー(n)を1台用意し、そのサーバーの /srv/nfs/sales_data というディレクトリをNFSで共有します。
メンバー5人(クライアント c1〜c5)は、全員自分のPCの /home/user/sales フォルダに、サーバーの /srv/nfs/sales_data をマウント(接続)します。
/srv/nfs/sales_data だけをバックアップすればよくなります。各メンバーのPCを個別にバックアップする必要はありません。