これまでの章で、クライアント (c) はNFSサーバー (n) に接続する準備が整いました。しかし、NFSの「真の力」—つまり速度と安定性—は、クライアント (c) が mount コマンドをどのように実行するかに大きく依存します。
この章では、mount コマンドの核となる -t(タイプ)と -o(オプション)フラグを徹底的に解剖します。特に -o は、NFSのパフォーマンスと信頼性をチューニングするための「魔法の呪文」です。
mount:ファイルシステムの接続目的:
このコマンドは、NFSサーバー (n) が公開しているリモートのディレクトリ(共有)を、クライアント (c) 上のローカルディレクトリ(マウントポイント)に**接続(アタッチ)**する、NFS利用における最終的な「鍵を回す」操作です。
例えるなら:
サーバー (n) は「巨大な金庫室(共有ディレクトリ)」、クライアント (c) は「自分の部屋(ローカル)」です。
mount コマンドは、自分の部屋の壁に「どこでもドア(マウントポイント)」を設置し、そのドアの行き先を「金庫室」に設定する作業です。
このコマンドが成功した後、クライアント (c) は「どこでもドア」を開ける(/mnt/nfs に cd する)だけで、金庫室の中身を自分の部屋の一部として扱えるようになります。
どんな時に使う?:
NFS共有をクライアント (c) で実際に利用可能にするために、必ず使用します。
mount コマンドの基本構文コマンドの基本的な構造は以下の通りです。
# sudo mount [オプション] [接続元] [接続先]
sudo mount -t nfs -o vers=3,rw 192.168.1.100:/srv/nfs/data /mnt/nfs/data
この構文の -t と -o が、NFSの振る舞いを決定する上で最も重要です。
t (type) オプション:ファイルシステムの「種類」を明示する目的:
mount コマンドに対し、「これから接続しようとしているのは、NFSという種類のファイルシステムですよ」と、その「種類(タイプ)」を明確に伝えるために使用します。